こんにちは。ファイナンシャル プランナーの森次です。
昨今すごく増えている相談の一つに住宅ローンを繰り上げ返済したほうが良いのかという悩みがあります。
確かにずっと戦後最低金利を更新し続けてきた変動金利もいよいよ金利が上がり始めています。
日本人にとって経験したことのない経験。さすがに怖いですよね?未来が不安なのだと思います。
本日はその不安が少しでも解消されるように僕なりの答えをお伝えいたします。
住宅ローン金利はこの先も上がる!?
昨今上がり始めている金利ですが、この先も上がり続けるのでしょうか?
筆者は当分の間上がり続けると考えています。
そもそも今までが戦後最低金利と言われていたのですからいつかは上がり始めるのでしょうが、その要因は物価です。
日本の物価は2020年を底値に少しずつ上がり続け、コロナ明けの2022年からは本格的な物価上昇時代に入っています。
フラット35の金利も2020年1月の1.270%からどんどんと上がり続け、2025年2月は1.890%です。
何となく金利が物価に連動していることがわかります。
つまり、この先も物価が上がり続ければ金利も上がり続けると考えられます。
例えばアメリカやオーストラリアでは平均時給3000円以上で働けて、コーヒー1杯が1000円以上、らーめんが3000円以上します。
つまり日本の3倍の物価です。
日本は輸入の国ですから当然これからもモノの値段は上がっていきます。
さらに今後日本は空前の人手不足となり、人件費を上げなければ働き手を確保できません。
今後日本はモノの値段も給料も上がっていく傾向にあります。
これが物価が上がるということです。なので金利も上がっていくと考えるのが自然です。
さらにいうと住宅ローン金利は固定金利から先に上がります。
すでに固定金利は5年ぐらい上がり続けてきましたので、今後は変動金利も上がり続けていくでしょう。
変動金利の落とし穴
さて、金利があがっても、すでに固定金利を借りている人は全く影響を受けないのですが、変動金利を借りている人には大きな影響があります。
変動金利は半年に一回金利を見直しますが、5年ルールというものがあり、仮に金利が上がったという通知が来ても毎月の支払いは変わりません。変わるのは支払っている金額の内訳です。
例えば毎月10万円の返済を行っている内訳として1万円が利息、9万円が元金だったとしましょう。
金利が上がると、支払いは10万円のままなのですが、内訳は1.5万円が利息で、元金を8.5万円しか返せなくなってしまいます。
つまり支払っても支払っても利息が多くなり元金を返せないので35年で住宅ローンが終わらなくなる可能性がでてきます。
これを回避するために元金の返済に充てられるのが繰り上げ返済です。
繰り上げ返済の落とし穴!?
では今後の物価上昇時代を見越したら繰り上げ返済をしておいたほうが良いのでしょうか?
筆者は繰り上げ返済はしないほうが良いと考えます。
例えば5000万円の住宅ローン金利0.5%で返済している人が5年目に期間短縮型の繰り上げ返済を約1千万行うと、総払込金額は146万円安くなります。
これが繰り上げ返済で元金を返済することによって、その元金にかかっていた金利が取られなくなるメリットです。
仮に1%の金利時に繰り上げ返済を行えば総払込金額は308万円安くなります。
さらに繰り上げ返済により住宅ローンの返済期間が約7年短縮されます。
多少金利が上がってきても35年以内には住宅ローンを終わらせる可能性は高くなります。
これらが繰り上げ返済を行うメリットです。
一方のデメリットは、一度繰り上げ返済に入れてしまったお金はいくら緊急のトラブルがあっても決して返してくれません。
逆に言えば、手元においておけば繰り上げ返済に回す予定だった1000万は他の使い道があるということです。
例えば投資信託を買うのはどうでしょう。
オルカン(全世界株式インデックス)の過去50年間の平均金利は年7%ですし、弊社の推奨ファンドはどれも10%を切るものはありませんが、ここでは話半分に5%で運用されたとしましょう。
繰り上げ返済を行う予定の時期から住宅ローンが終わるまでの30年間5%で運用したら、1000万円が4468万円になります。
3468万円のメリットがあります。
先ほどの繰り上げ返済と比べてゼロ1つ大きいメリットです。
仮に変動金利が上がり35年でローンが終わらない場合は、投資信託で運用した4468万円を財源に35年目に残り期間分を繰り上げ返済したほうがよっぽどメリットが大きいことがわかると思います。
さらにいうと投資信託は繰り上げ返済と違っていつでも売却して現金化しほかの用途に使うこともできます。
まとめ
今回の記事では頭で考える損得にフォーカスしましたが、シンプルに借金が嫌いだというような心の価値観もお金の使い道を考える上で非常に重要な要因です。
そのためにはライフプランを作り未来を見える化し、それぞれの価値観に基づいた選択をしていただくことをお勧めします。