こんにちは。ファイナンシャル プランナーの森次です。
投資には「不安」がつきものですが、特に投資する人を不安にさせる言葉が「リスク」です。
投資を始められない人もこの「リスク」という言葉が最大の参入障壁になっているのではないでしょうか。
金融商品を購入するときに「この商品にはリスクがあります」という文言が書かれていて、この言葉を聞いて多くの人は「不安」を感じます。
皆様はこの「リスク」という言葉から何を連想されるでしょうか?
本日はより安心した投資ができるように、この「リスク」という言葉の勘違いを紐解いてみたいと思います。
リスクとは?
リスクという言葉を聞いて、「損する可能性がある」「ギャンブル性のある商品」というようなイメージを持った人は、リスク=デンジャーと変換したのではないでしょうか?
たしかにデンジャーとは危険のことなのですが、リスク=デンジャー(危険)ではありません。
普段口語として使っている「リスク」と違って、金融の世界で使われる「リスク」とはふり幅のことです。
必ずしも損するのではなく、思ったよりも増えたとしても減ったとしても、このふり幅の事を「リスク」と言います。
例えば、ある場所へ歩いて行ったら30分かかるとして、信号につかまったりしても、せいぜい25分から35分ぐらいで到着するでしょう。
この場合のリスクとは、30分の到着予定から前後10分のふり幅の事です。
一方、車を使ったら10分で到着するとしましょう。
20分時間短縮できるのでこの20分早く着くことをリターンと言います。
ただ、車の場合は駐車場が満車かもしれないし、渋滞につかまるかもしれません。
歩いていたら出会わないような想定外のふり幅の可能性があります。
仮にパンクしたり事故にあったら20分ぐらい遅れる可能性もあります。
うまく行けば5分で着くかもしれないし、最悪の場合20分かかるかもしれません。
この場合のふり幅は5分から20分なので15分のリスクがあると言えます。
つまり、車の場合は歩くよりも早く着くリターンを手に入れられる可能性もありますが、歩いていては決して遭遇しないトラブルというリスクもあります。
歩くより車のほうがハイリスクハイリターンと言えます。
飛行機に乗ったらもっと早く遠くへ行けますが、天候によっては飛ばない可能性もあるので、飛行機のほうが車よりもハイリスクハイリターンと言えます。
ゴルフに例えてみましょう。
ドライバーを使ったら遠くへ飛ばすというリターンを手に入れられる反面、右左へ飛んで行ったり、思った以上に飛ばなかったり飛んでいってしまったりというふり幅(リスク)があります。
逆にパターを使えば飛距離は出ない=リターンは少ない反面、ふり幅(リスク)も少ないと言えます。
このように我々は日々リスクとリターンを見極めて選択をしています。
ところが金融商品になった瞬間、わからない不安から「リスク」=「デンジャー」と読み替えてしまうのです。
投資とリスクの関係
僕の長女はまだ13歳なのに、お風呂上りに化粧水をつけています。
十分肌は綺麗なはずなので「なぜつけているの?」と聞きました。
すると「将来シミになりたくないから」と答えました。
これって投資をしているってわかりますか?
化粧水をつけるという時間とお金を自らの肌に投資し、肌を成長させ、将来シミのない肌を手に入れたいというリターンを得に行く立派な投資行為です。
ではこのリターンを得るために取らなければいけない「リスク」とは何でしょうか?
何歳でどのぐらいきれいな肌になるかは人それぞれ違いますし、わからないのです。
必ず一つもシミができない肌を手に入れられるという保証もありません。
何歳の時点でどれだけシミのない肌を手に入れられるかは個人差というふり幅(リスク)があります。
それでも長女は「化粧水を今からつけていたほうが、つけないよりはいい」というリターンを手に入れようとしています。
これが投資です。
世界経済はこれからも人が豊かになりたいと思い、成長したいと思う限り成長し続けるでしょう。
それが株価に反映されるので、世界全体に分散するような投資信託を長期間保有していたら、長い目で見たとき、やはりリターンを手に入れられると思います。
ただ、何歳でどれだけ経済成長し、それがどれだけ株価に反映されリターンを得られるのかわからないのです。
この場合の「わからない」というふり幅がリスクです。
リスクは減らすのではなく許容する
例えば投資信託を積み立てで毎月1万円ずつ買い付けるとして、リスクの高い商品は価格のふり幅が大きいので大きく価格が下がる可能性もあります。
仮に50%価格が下がったとき、積み立てで毎月買っていたら、2万円で買い付けられる投資信託を半額の価格で2倍買い付けられることになります。
これがわかっていたら少なくとも投資信託を長期保有する場合、リスクはなるべく減らすのではなく受け入れておいたほうがお得だということがわかります。
最後までお読みいただきありがとうございます。