ここ数年の投資信託がマイナスになっている!?

こんにちは。ファイナンシャル プランナーの森次です。
 
弊社の推奨ファンドの一つが昨今マイナス益になっていることについて不安に思われている方がいらっしゃると思います。
本日はその解説です。
まずはこちらのグラフを見てください。その投資信託直近1年のグラフです。
 

 
少しマイナスになっていることがわかります。
次にこちらを見てください。直近3年のグラフです。
 

 
少しですがプラスになっていることがわかります。
さらにこちらを見てください。
 

 
13年でみれば6倍近くになっていることがわかります。

このグラフは手数料を考慮していないので正確にはもう少し運用益は小さくなりますが、それでも実質の運用利回りが年率10%以上では運用されています。
そして直近の数年は少し停滞気味なのがわかります。
同じように、2015年~2018年や2019年~2020年も停滞時期です。
起点を2~3年でとらえたら少しマイナスになっているタイミングがあることもわかります。
この投資信託は下がり局面に強いのが売りの運用をしているので、大きなマイナスはないもののそれでも定期的にマイナスにはなるタイミングがあり、それでもなだらかに右肩上がりに成長していることがわかります。
 

平均値回帰

長期的に見て過去実績が年率10%であるということは、毎年平均10%ぐらいで増えるのではありません。
上がるときもあれば下がるときもあり、その平均が長期的に見れば10%ぐらいに落ち着くということです。
つまり昨今自分の資産がマイナスになっているということは、そのあとは大きなプラスになる可能性が高く、長く保有した人だけが結果的に年平均利回り10%ぐらいの恩恵を受けられるのです。
 
投資の神様と称されるウォーレン・バフェット氏は、「株式市場はせっかちな人から忍耐強い人へ富を移す場所だ」という名言を残していますが、長期保有した人だけが複利効果の恩恵を最大限に受け、市場に居続けた人が投資に勝てると伝えています。 
 

インデックスファンドと比べて

一方でオルカンやS&P500はここ数年順調に高い利回りキープしています。
上記の投資信託は長期的に見ればインデックスファンド以上の利回りを出していますが、昨今はインデックスファンドに負けています。
ここ数年の利回りだけを持ち出して、手数料が安いからアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないという意見を言う人がいますが、それなら長期的に見てこの投資信託がインデックスファンドに勝っている理由の説明がつきません。
だってここ数年だけ手数料が上がったわけではなく、この投資信託の手数料はずっと変わっていないからです。
平均値回帰の原理から言えば、ここ数年調子の良いインデックスファンドは、今後は今までのような運用益を出せないと考えるほうが自然です。
実際にインデックスファンドを発明した運用会社『バンガード』は、今後10年のインデックスファンドは年平均利回り3%ぐらいになるだろうという予想を発表しています。
 

スタイルローテーション

つまり、投資信託にはそれぞれの投資哲学があり、自分たちの目指す投資のスタイルに基づいて企業を分析調査し、買い付けを行っています。
そのスタイルが時代にマッチしているときもあれば、時代に反する時もあります。
だからこそ忍耐強く市場に居続けた人だけが資産を形成できるのです。
一番ダメなのは、時代に合わせてスタイルを乗り換えていくということです。
なぜなら運用の調子が良いということは、一方で割高で買いこみ続けることになるからです。
例えば、2020年からウクライナでの戦争がはじまり、ミサイルや核兵器を作っている軍事産業の株価が大幅に上がっています。
時価総額の高い企業の株を上から順に買っていくインデックスファンドには、これら軍需産業の株も含まれています。オルカンには30社以上、S&P500には10社以上の軍需産業の株が含まれています。
戦争という特需景気で昨今株価が爆上がりしている軍需産業の株を割高と考え、まともなファンドマネージャーなら避けるでしょう。
上記の投資信託も軍需産業を避けているからこそ、昨今はインデックスファンドに負けているのです。
つまりこれは手数料のせいではなく、戦略的に負けているとも考えられます。
 

目先の数字ではなく納得感

改めて原点に返って考えていただきたいのです。
投資信託の運用利回りは長期的に見れば買い付けている企業の利益に連動します。
上記の投資信託であれば、マイクロソフトやビザやコカ・コーラの株を多く買い付けているので、我々が投資しているお金は間接的にそれらの企業に使ってもらうことで、社会に価値を生み出し、利益を産み、我々の資産形成に繋がるのです。
短期的には時代の流れや景気や日々のニュースに連動しますが、企業が利益さえ生み出し成長していれば必ず株価は成長するのです。