セゾン投信中野会長退任に見え隠れする現代金融業界の闇!?

こんにちは。ファイナンシャル プランナーの森次です。

先日ショッキングなニュースがありました。

セゾン投信の中野会長突然の退任。

中野さんといえば、積み立て王子の愛称で認知されるほど
日本に積立投資を広めてきたパイオニア的な存在です。
セゾン投信は2006年にスタート。
積立投資専門という決して儲かる仕組みではない販売方法で徐々にファンを獲得していき、
現在では口座保有者15万人、運用資産残高6000億円にまで拡大してきました。
その最大の功労者である中野会長が、親会社クレディセゾンとの対立により、昨今退任させられました。

ここには、現代の金融業界が抱えている大きな闇が見え隠れするので解説致します。
 


以前から金融庁も日本の運用会社のガバナンス問題を指摘しています

経営トップの在任期間を見ると、日系大手資産運用会社の7割以上が「3年未満」、
他方、世界上位 30 位内に入る大手資産運用会社の経営トップの就任からの経過年数を見ると、
「5年以上 10 年未満」が最も多く、日系大手資産運用会社の経営トップと比べて、在任年数が長い。


次に、経営トップ就任前の資産運用会社での経験年数を見ると、
日系大手資産運用会社の経営トップは「3年未満」が約 36%と最も多いのに対し、
世界の大手資産運用会社は、「20 年以上」が最も多く、6割近くを占めている。



加えて、経営トップの出身会社を見ると、
日系大手資産運用会社では、その7割以上が「グループ内他社」出身であるのに対し、
世界の大手資産運用会社の経営トップは、その半数近くが「勤続 10 年以上」の内部昇進である。






つまり、日本の運用会社の多くは、親会社に販売会社があります。
例えば○○証券という親会社のグループ内に、○○アセットマネジメントという運用会社があります。

そして、その親会社からやってきた業界経験のない人が運用会社のトップになり、
2、3年でいなくなるというのが現状です。
そうなると親会社である販売会社(○○証券)の言いなりとなり、販売会社の都合の良い仕組みになります。
運用会社で20年以上勤続し、内部昇進から10年近くトップに就任する世界大手30社とは大きな違いがあります。

その結果として、投資信託を2,3年保有させたら新たな商品を発売し、そちらに移らせる回転売買が横行。
単に購入手数料を稼ぎたい顧客本位とはかけ離れた販売会社(証券会社や銀行)中心の
この手法を金融庁も問題視してきました。

運用会社と販売会社とお客様

運用会社は資産残高を増やしていきたいので、
お客様から長期的に資産を預かりし、運用させて頂きたいと考えています。
ファンドマネージャーにしてみても、短期売買になるとリスクばかりが上がります。

短期で結果を出そうとすると限界があります。

お客様も資産を確実に増やしていくには、
20年以上の長期保有が必須であることは過去のデータからもわかっています。
つまり、本来運用会社とお客様とは同じ方向を見ているのです。
 

ただ、運用会社の親会社にあたる販売会社は違います。
手数料欲しさの短期売買が最も儲けを出せます。
その結果として日本人の投資信託の平均保有期間は3年未満です。

セゾン投信の戦略

この現状を変え、顧客本位という本来の運用会社の在り方を創ってきたのがセゾン投信でした。

直販という販売手法に限定することで、販売会社を通さずに、直接お客様と運用会社がやりとりをします。
さらに一括ではなく積立投資に限定した販売にすることで、
長期にわたりお客様の資産をお預かりし運用する仕組みを創ってきました。

今回のニュースで、親会社側はクレジットカードの顧客や金融機関との提携により
販路拡大に取り組むと述べているのですが、
これって販売会社が間に入るので、従来の日本が散々やってきた
手数料稼ぎの短期乗り換え回転売買手法に戻ってしまうリスクも出てきています。

当然中野会長は全力で反対したのでしょう、だから突如の退任なのだと思います。

すでに保有しているセゾン投信の投資信託はどうなる?

セゾン投信の主力2本の投資信託に関しては、
ファンドオブファンド形式といってセゾン投信が直接どこかの企業の株を買うのではなく、
世界中で実績ある投資信託を買い付けてきてパッケージにしている商品です。

なので極端に運用方針等が変わることは考えにくいので、
すぐに何か動く必要はないと思いますが、今後も注意してみておく必要があります。  

それにしてもこれだけのファンを掴み、ブランド価値を作り上げてきたのに、
目先の短期的な利益に目が眩み、これらを捨ててしまうのはあまりにももったいなと感じてしまいます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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